記憶を失くした少女【完】
くそぉ………………。
朝から絡まれるとか相当ついてない。
そのうえ、ケータイも取られるとか………………。
何とかして返してもらいたい。
___~~っ♪♪
そんなとき、私のLIMEのメッセージ着信音が聞こえた。
さっき、一通りやり取り終わらせたけどもしかしたら、また凌馬さんかもしれない。
「なんか、来たんだけど(笑)」
「遥輝からだって~!自作自演お疲れ様(笑)」
「まだケータイ隠してんだろ!?渡せよ(笑)」
そう言ってギャルの1人が私に近づく。
もちろんもう1つのケータイなんて持ってないし、そもそも遥輝からLIMEが来たことにビックリしてる。
だって、朝からだし、それに私あてに送る内容なんて………あるの?
どんな内容か気になる。
「『今からそっち行く』だってさ(笑)マジウケる~」
「ほら、渡せよ!」
見下したように私を見る女たちの目と、脅すかのような強い口調。
そんなことよりも、私は遥輝のその言葉が気になって仕方ない。
『そっち行く』って………………そのまんまの意味だよね?
だとしたら、厄介だなぁ………………。クラスの人に注目されるのは嫌だ。
どうにかしてケータイ返してもらい、来る前に私から教室を出て、廊下で落ち合う形に持ち込みたい!
「お願い!ほんと返して!」
ここに来られたらヤバイんだって!!
「は?なに急に必死なってんの?(笑)」
「たかが自作自演のくせして(笑)」
「自作自演でいいから、返してって!」
頑張って上に手を伸ばす。
あと少しで届きそう……………………………………そんなとき、
_____ガラッ。
タイミング悪く奴が来てしまった。