黄色いレシート
もしかしたら、死という物自体がタエから遠ざかってしまったのかもしれない。


もしそうだったとしても、タエはあの食堂にいたかった。


この目であの食堂の生末を見守っていたかった。


タエは人間の少女の姿に化け、あの人が愛した食堂で働きはじめた。


タエが働き始めたころにはあの人はもう亡くなってしまっていたけれど、それでも幸せな時を思い出せる場所で働く事ができるのは、とても幸せだった。

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