黄色いレシート
「きっと、みんな知ってるよ」


友がタエを抱きしめたままクスクスと笑ってそう言った。


「み、みんなって!?」


タエは驚き、友から身を離してそう聞いた。


「タエと一緒に働いている人や、常連客さん」


「みんな……」


それは本当にタエの知っているみんなで、茫然としてしまう。


けれど、みんなはタヌキであるタエを受け入れてくれていたということだ。


「タエはそのままでいいんだよ。人間が好きなタエの事を、みんなも大好きだから」


優しい友の声がタエの胸にしみこんで行ったのだった。
< 208 / 212 >

この作品をシェア

pagetop