残念なイケメン、今日も我が道をゆく
そうして、資材の確保がどちらも整い、朝のドタバタに収拾がついて各々自分の仕事に入る。


今日はこのドタバタで朝の朝礼は省略だ。


俺も営業先に行くべく、準備をしていたら


「御堂、助かったわ。ありがとう。今度何かお礼するから考えといて」


ポンと肩を叩いたあと、サッと隣を通り過ぎて行った江崎さんを見ると珍しく少し笑みを浮かべていた。


普段は難しい顔をしてることが多いのに。


その笑顔は、ずるい。


毒舌でサバサバした彼女の見せる笑顔には普段にない柔らかさが含められていて、更に俺は彼女が好きになって仕方ない。


そろそろ、偽装は脱ぎ捨てるべきだろうか?


偽装しつつも、彼女の前だけそれを辞めるか。


少し思い悩む。


俺の擬態。


それはナルシスト発言を連発して女の子を避けること。


元々、そこまでナルシストではない。


確かに両親のおかげで、そこそこ綺麗には産んでもらったとは思っているが、美形やイケメンはもっと上がいるのを知っている。


ただ、寄ってくる女の子がどれをとっても、俺をアクセサリーのように見せびらかしたい女子ばかりで辟易した時にわざとナルシストな発言をしたら大潮の引き潮のようにサーっと引いてったのだ。
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