残念なイケメン、今日も我が道をゆく
私を脱力させた彼は、今日も今日とて、絶好調に残念なイケメンを発揮しているのが、見掛けただけで判断出来た。


その為の、脱力である。


そう、残念なイケメンの彼は、その有能さと容姿の良さを上回るレベルに残念な程に、ナルシスト。
自分の美しさが大好きな人なのである。


窓に浮かぶ自分を見て酔いしれたように微笑む。


そして


「今日も俺はカッコイイな!やはりいつ見ても綺麗というのは、罪だよな…」


と口に出して窓に写る自分に見蕩れるイケメン・・・


これを残念と言わずして、なんと言えばいいのか!?


この残念なイケメンと名付けたのは秘書課の某お姉様方だと聞いた。
彼を表す的確な表現に、たちまちその言葉は社内に定着した。


つまり、それだけ奴はナルシスト発言を、随時呟いているというわけだ。


その他にもカッコ良く


「これ、俺なら1時間あれば済むから。やっておく」


との発言をしたあと、その書類は40分足らずで修正の上
、ブラッシュアップされて仕上がってきた。


「さすが、俺!」


自画自賛のイケメン。


確かに早いし、良くなってるけれども。
その一言を口にするが故に、結果残念に終わる。


もはやその発言は、日々笑いとドン引きなどを周囲に引き起こす。
営業部を、さながらコント会場のようにしてくれる、残念なイケメンなのである。


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