残念なイケメン、今日も我が道をゆく
すると、言葉をしっかり汲み取ってくれた御堂くんは


「はい、美味しいところに連れていきますよ!今日は何を食べたいんですか?」


そう、嬉しさを隠さない笑顔で聞いてきたから


「今日はお好み焼きかもんじゃの気分!飲みながら食べたいわね」


返した内容は色気や雰囲気のいいお店や高級店ではなく、正直に今食べたいもの。
素直に伝えるのが私のスタイルだ。


「それなら月島にでも今日は出ましょう!オススメのお店に連れて行きますから」


「さすが、営業マン。接待にはいろんなお店を知ってるものよね!楽しみにしてるわ」


そうして連れ立って営業部を出ると、後ろから悲鳴やらが飛び交っている騒がしさが伝わってきた。
週明けのオフィスでは質問責めかもしれない。
そこら辺はこのイケメンに丸っと投げてしまおう。


「江崎さん、好きです。俺の彼女になってくれませんか?」


その高身長の背中を丸めて私の顔を伺う御堂くん。


「この歳だしね。返品不可でも良いなら、付き合わないことも無い・・・かな」


最後まで素直じゃない返しだというのに、この言葉を聞いた御堂くんは


「もちろん、返品なんてしません。一生抱えてく所存ですから、むしろ逃げないで下さいね?」


とそれはそれはいい笑顔で言うから


「そればっかりは、御堂くん次第よ!」

< 29 / 33 >

この作品をシェア

pagetop