酔ったら、



「本当に、ですか…?」

「うん。心配、ありがとうね。ごめん」

「いえいえ。まあ、でも確かに、先輩のがまだピンピンしてますね。ほら、あの子…」



後輩の子が向けた目線の先を辿る。

その先には、人当たりも良く、まさに女の子!といった感じの、社内でも一番人気のある後輩の子がいた。

いつもの飲み会通り、顔を真っ赤に染めて、男性社員たちの中心で、お喋りをしている。

さらには、一人の男性社員に膝枕を懇願しているようだ。

ああいった子に男の人は、やっぱり弱いのかしら。

可愛くおねだりをできる、そんな子が。

私がやったら、正反対で引かれてしまいそう。

少し羨ましい。

男の人に甘えてみたいけど、私は生憎、媚びれる性分じゃない。

ああ、駄目だ。

酔いが回るのが速かったせいか、頭の中で嫌味が駆け回る。

おかしいな。いつもなら、こんなもんじゃないのに。

どちらかと言えば、お酒は特別強くはない。

だけど、自身の限度を知っているから、ちゃんと節度を守って飲んでいる。

醜態を晒したことなんて、一度としてない。
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