その手が離せなくて
ポロリと流れた涙が顎先から落ちる。

言葉にして初めて、この想いの強さを知った。


だけど、目の前にいる萌は瞳を歪ませて私を見つめた。

悲しみ? 軽蔑? 怒り? 憐み?

汲み取れない複雑なその表情を見つめる。

すると。


「柚葉は勘違いしてるよ」


大きな萌の瞳が微かに潤む。

両肩に添えられた小さな手に、ぐっと力が入る。

そして――。


「出会った時に相手が結婚している時点で、それは運命の相手なんかじゃないんだよ」

「――」

「本当に運命の相手なら、結婚なんてしてない。柚葉を苦しませたりしない」


ポロリと目の前の大きな瞳から涙が一粒落ちた。

その姿を見て、その言葉を聞いて、足元から崩れ落ちる。


「一ノ瀬さんは、柚葉の運命の相手なんかじゃない」


再び囁かれた、その言葉を耳にしながら。


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