クールな公爵様のゆゆしき恋情2
「ラウラ!……良かった間に合って」

「アレクセイ様……」

アレクセイ様が来てくれた。不安と恐怖がすっとし引いていく。

「大丈夫か? 怪我はないか?」

アレクセイ様は私の頬に手を添えて顔を上げさせる。

心配そうな瞳を向けられ、私は安心して頷いた。

「私は大丈夫です。でも、イザークが」

「イザーク?」

「はい。私を庇ってくれたんですけど、その時怪我をしてしまったのです、早く手当てをしてあげてください」

アレクセイ様の腕から抜けてイザークを探す。

彼は護衛騎士のひとりに止血をして貰っている最中だった。

一見したところ酷い怪我では無さそうでほっとする。

「あの男は?」

アレクセイ様は私の腰に手を回したまま聞いてくる。

「この鉱山の護衛兵です。リンブルグの出身で、何かと手助けしてくれていたんです。彼のおかげで助かりました」

出来ればアレクセイ様からもイザークに労いの言葉をかけて欲しい。

そう思ったのだけど、アレクセイ様はなぜかとても渋い顔をしている。

「……アレクセイ様?」

アレクセイ様は私には優しく微笑む、私の腰に腕を回したままイザークに近付いていく。

「妻が世話になったようだな。礼を言う」

アレクセイ様は立ち止まると私を自らに引き寄せながら言う。

なんだかとても密着度が高い。

こんな場所でどうなのだろうと気まずく思っていると、イザークは素っ気無く「ありがとうございます」と言う。

そう言えばイザークはアレクセイ様とヘルミーネ様のことを不審に感じていたんだった。
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