クールな公爵様のゆゆしき恋情2
孤児院の建物は昔、大商人が建てた館をそのまま使用している。

かなり古いレンガ造りの建物だ。それなのに、補修をした跡は見られない。

壁はところどころひび割れているし、屋根も傷んでいるように見えるから雨漏りの心配があるかもしれない。

玄関の先には広場があるのだけれど、地面がならされていない為、でこぼことして歩き辛い。玄関脇の花壇に生えているのは雑草のみ。

全体的に雑然とした印象だ。

どこの孤児院も経済的に運営は厳しいものだけれど、このリンブルグ孤児院は特に余裕がないように見える。

だけど、私が一番驚いたのは広場に座り込む子供たちの様子。

孤児院の子供の半数――恐らく二十人以上が集まっているのだけれど、皆顔色が悪く生気がない。まだ子供だというのに疲れ果てた様子で立ち上がる気配もない。

「この子達は?」

思わず呟いてしまったとき、孤児院の玄関の扉が開き、中から神父服姿の白髪の男性と、彼の部下と思われる中年の男性三名がやって来た。

彼等は私の前で深く腰を折る。代表して神父姿の男性がよく通る声を出した。

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