強引ドクターの蜜恋処方箋
そのまま唇を重ねながら、ベランダからゆっくりとリビングに場所を移す。

そして、ソファーに倒れ込み、私の上に彼の体が重なった。

熱い唇が私からそっと離れると、荒い呼吸を整えながら優しい眼差しで私を見つめる。

「チナツがいたから俺はここまで来れた。俺にはチナツが必要だ。俺もチナツにとって必要な存在になりたい」

そう言いながら私のおでこにかかる前髪を優しく掻き上げた。

潤んだ雄馬さんの瞳を見つめながらあふれる思いを小さな声で言った。

「・・・大好き」

「え?何?もう一度言って」

雄馬さんはわざとらしくそう言って微笑むと、私の顔に自分の耳を寄せた。

ドキドキが最高潮だった。

「雄馬さんが大好き」

自分の心の声は、いつの間にか私の心から飛びだしていた。

今まで堪えていた涙と一緒に。

「やっと言ってくれた」と言いながら、私の涙を指でそっとふいてくれた。

それから、私の顔を両手で包み、おでことおでこをくっつけながら押し殺したような声で言った。

「俺、この体勢、色んな意味で限界なんだけど。チナツ、もういいよな?」

「え?」

雄馬さんは戸惑う私の唇に深くて酔いしれるようなキスをすると、ゆっくりと私の耳、首筋と唇を這わせた。

しびれるような感覚が私の全身を包んでいく。

私が今まで押さえていた自分を雄馬さんは優しくそして時には荒々しく解き放っていった。

こんなにも抱かれている間、相手が愛おしくて自分を解放したことはなかったかもしれない。

このまま2人でずっと永遠に溶けてしまいたい、そう思いながらその熱い唇と繊細な指の動きに身を任せていた。

私も出会った時からずっとわかっていた。

雄馬さんが必要な存在だってこと。

きっとこれからもずっと・・・。

私達はその夜初めて一つになった。

互いに何かに突き動かされるように何度も求め合った長くて甘い夜だった。







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