紅の葬送曲



よく晴れた4月の終わり。





菖蒲の花が咲き始めた斎場で、小鳥遊さんの葬儀が行われていた。




検死の結果、小鳥遊さんは体中の骨が折れ、内臓も破裂していたり、骨が刺さっていた。




死因は内臓破裂と舌を噛み切ったことによる失血死。




小鳥遊さんは殺されたのではなく、自ら命を絶ったのだった。




「小鳥遊さん……」




棺の中で眠る彼女は死化粧で綺麗に整えられていて、本当に息をしていないのかと疑ってしまうほどだった。





私は溢れそうになる涙を堪えると、隣で棺を静かに見下ろす寿永隊長を見上げた。




翔鷹の正装は軍帽を被ることになっている。




その軍帽で彼の顔はよく見えない。




でも、部下が……信頼していた付き人が死んだのだから何も感じないはずがない。





< 301 / 541 >

この作品をシェア

pagetop