紅の葬送曲


「何でですか?」





「だから、お前が単純だからだ」





それって答えになってる?





私は半分答える気のないであろう上司に苛立ちを感じながらも素直に頷いた。





ふと、さっきアンジェロさんが呟いてた言葉を思い出す。





何て言ってたかは聞き取れなかったけど、あの発音は何処かで聞いたことがあった。





『Es gibt keine Veröffentlichungsmethode. Löse es, wenn du es lösen kannst》』





……あ、そうだ。




寿永本邸でメイドの人に爆弾がくくりつけられた時に寿永隊長が言ってた言葉と同じなんだ。





確か、あれは……。




「ドイツ語……」




ポツリと呟くと隣を歩く寿永隊長がクスリと笑った気がした。





「……単純って言っても勘が鈍い訳ではないんだな」




そんな呟きも聞こえた気がしたけど、問えばまたはぐらかされて終わりな気がしたから聞かなかった。





──アンジェロ・アッヘンヴェル。




彼女は私達にとって天使なのか、悪魔なのか……。




知るのは彼らだけだった──。





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