紅の葬送曲


「何言ってんの、紅緒!翔鷹の創立記念のパーティーよ!?お金持ちが来るのよ!?玉の輿狙えるのに着飾らなくてどうするのよ!?」




前のめりに捲し立てるように言ってくる京に、私は仰け反ってしまう。




そう、パーティードレスを見に来たのは翔鷹の創立記念のパーティーに参加するためだった。





私は制服で出ようとしたんだけど当然ながらドレスコードがあるらしく、そういう服に疎い私は京に買い物に付き添ってもらった。




でも、それが間違いだったらしく、私は着せ替え人形状態だ。




「あー、駄目!紅緒、何でも似合いすぎる!」




まあ、最終的に京が悩みすぎて何が良いか分からなくなって決まらないのがオチなんだけど……。





「あ、でも、紅緒には寿永隊長がいるからいっか!もう既に玉の輿決定だし」




「はぁ!?」




私はニヤニヤ顔をする京の言葉に、声が裏返った。





「あらあらー、動揺しちゃってー。可愛いんだから」




京は私の反応に頬をツンツンとつついてくる。





玉の輿とか意味分かんない。




第一、私と寿永隊長はただの上司と部下であって──。





ふと、バッグに入れていたスマホに着信が入った。






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