紅の葬送曲
「先程は失礼しました。感情に流され、要らぬことを言ってしまいました」
急に畏まって謝られるものだから私もどうしたら良いか分からなくなる。
でも、別に感情に流されても仕方ないと思う。
私は知らないけど、寿永隊長と小鳥遊さんには深い信頼関係があったはずだ。
的確な言葉が見つからなかった私は首を振っただけだった。
ふと、急に目の前に電子キーが差し出された。
それを差し出していたのは寿永隊長だった。
「何ですか、これ?」
「お前の部屋のキーだ。それは翔鷹の施設に入るためにも使うから無くすなよ。無くしても作り直すのは実費だ」
差し出された電子キーを受け取ると、それには私の名前がローマ字で書かれている。
実費ってことは最初の支給は翔鷹からということ。
翔鷹に入るためのキーでもあるということは作り直すとなれば高いに違いない。
無くさないようにしないと……。