紅の葬送曲
「……そうか」
寿永隊長は何か考え込むように顎に指を添えた。
ふと、頭がズキリと痛むと同時に不思議な光景が脳裏に浮かんだ。
『紅緒、この方は父さんが命をかけてお守りしている方だ』
お父さんに隠れて見上げる先には今の寿永隊長に良く似た男の人がいて、その人の腕には幼い男の子がいる。
『そんな難しい言い方をしなくて良いと思うぞ。紅緒ちゃん、息子の──と遊んでやってくれないか?』
そう言って、男の人は幼い私の頭を撫で、抱えている男の子を下ろした。
その男の子は──。
「あの……寿永隊長……」
「何だ?」
「私と昔……会ったことがありますか……?」
その問いに、彼は一瞬戸惑いを露にした。