紅の葬送曲


この時の私は無知だった。





何も知らずに考えずに、ただ疑問に思うだけだった。





でも、知らないことは残酷だ。




いや、私の存在自体がそうさせているのかもしれない。





自分の生い立ちも過去も私は知らない。





知っていれば、彼の抱える苦しみも悲しみにも気付けた。






無知なことは残酷だ……。





でも、それ以上に残酷なのは私の存在なのかもしれない──。






< 59 / 541 >

この作品をシェア

pagetop