キングの餌食になりまして。



『俺はたちは、そのベッドで、愛し合った』


 支配人のついた“嘘”に、動揺してしまう。

 どうして嘘をつくのかわからない。


「……本気なの? 彼女のこと」


 キングの問いかけに「もちろん」と即答する支配人。


 それを聞いて頬がかあっと熱くなるのがわかった。


 いつからですか。

 いつから支配人はあたしのことを、そんな風に思ってくれていたんですか。


 当たり前のように答えてくれたのが嬉しくてたまらない。


「実知留ちゃん。律といたい?」


 チラッと支配人をみると優しく微笑んでくれた。

 視線を支配人からキングへと戻す。


「はい」

「そっか。律を選ぶんだね。……俺でなく」


――キングが背を向け歩き出した。


「京極さん、」


 呼びかけたのは、彼がまだなにか言いたそうに見えたからだ。


 足を止めるキング。こっちは振り返らない。


「実知留ちゃんの顔見て元気チャージしようと思ったんだけど。邪魔だったみたいだね」

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