キングの餌食になりまして。



 広い部屋の大きなベッドの上に裸で横たわり、柔らかいシーツと布団、それから……


「実知留」


――キングに包まれているっ……。


 腕枕をし、じっと見つめてくるのはとびきり整った顔立ちの男。しかも大富豪。


 あたしは、このひとと、結ばれた……。


 いまいち現実味がないシチュエーション。

 だけどそれをリアルだと実感させてくれる確かなものがある。


「身体、大丈夫?」

「っ、」


 全身が覚えてる。彼の温もりを――。


「すごく可愛かった」

「…………」

「気持ちよかったね?」

「いちいち言葉にしないでくださいっ……!」

「照れ屋さんだなぁ。実知留は」


 もっとからかわれるかと思ったけれど、そこでやめてくれたのが普段の奏さんとは違うなと思った。

 こんなときにまでセクハラモードになられちゃムードもクソもないから。

 かといってイケメンすぎたらしんどい。


「愛してる」

「……甘い」

「ん?」

「キングが、甘い」

「俺はいつだって甘いよ。実知留の前では」


 こっ……これは、まさしく……。


「愛しすぎて。甘くなってしまうんだ」


――溺愛モードに、入りました……。

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