溺愛プリンス～秘密のフィアンセ～
身支度を済ませた私は、ヘルメットを被り、サングラスをすると、マウンテンバイクに乗る。

そして向かった先は、薔薇の庭園が素敵な、有名シェフがオーナーのレストラン。

パティシエの専門学校に通っていた頃、コンテストでここのシェフに気に入られ、卒業と同時にここに就職した。

「…おはようございます！」

大きく元気な声で、厨房のスタッフに声をかけると、皆も笑顔で返してくれた。

手を洗い、戦闘服に着替えると、早速予約のお客様のためのお菓子を作り始めた。

このレストランは、完全予約制。

だから、そのお客様のために、最高のデザートを用意する。

最初の一年目は、先輩パティシエの手伝いをしていたが、シェフの要望で、翌年から、私が一人でデザートを担当する事になった。

たった１年のぺーぺーな私が、一人でデザートを作るなんてどうかしてると思ったが、お客様からは、よくお褒めの言葉を頂いた。

「…美々は、私の見込んだだけのことはある、最高のパティシエだな」

そう言うと、シェフは満面の笑みで、私の肩を叩いた。
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