素敵な王子様の育てかた。
王妃は安堵したように、ゆっくりと微笑む。

王子のこともさることながら、ライト王子とリフィト王子の関係も王妃はずっと気がかりだったのだろう。

元々は仲の良かったふたり。

それが同じ城にいながらにして、何年も顔すら合わせることすらなかったのだから。

けれど、王子が少しずつ変わっていき、今こうしてまた兄弟が顔を合わせている。

親としてそのことがどれだけ嬉しいことか、聞かずとも分かった。


「もう少しですわ、王妃様。王子はきっと、素晴らしいお方になれると思います」

王妃様はこくこくと頷く。


「ええそうね。どれもこれもララのおかげだわ。本当にありがとう」


そして王妃様は目頭に滲んだ涙を、象牙のような白く綺麗な指で拭った。


王妃様の涙は、なによりも尊く、重い意味を持つ。

溢れた涙が悲しいものではなく、喜びゆえのものであって良かったと、私自身も目頭が熱くなった。



「それでねララ、急なのだけれど１０日後、この城で夜会が開かれるの。その時、ライトを出席させて欲しいの。ある程度外に出られるようになって、こうやって話もできるようになった。だから、今のライトなら、夜会に参加できると思うのよ」

「夜会ですか？」

「ええ。その日ライトの花嫁候補の令嬢も参加することになっているわ。だから、顔合わせの意味もあって、どうしてもライトには出て欲しいのよ」
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