王子様とハナコさんと鼓星


「まぁ、それは否定しないね。俺には地位も名誉もお金もある。自分に自信もあるよ。だから、村瀬さんの気持ちなんて分からないね」


「…っ」

「でもさ、面白い子だよ。俺に向かってそうハッキリと言って来た女の子は初めてだ」


「ごめん…なさい…つ、つい…」

「村瀬さん、やっぱり俺と結婚しようか」

「…え?……は、へっ?」


(ちょっ….この流れで、何を言うの?今、それを言う雰囲気、なの?)


話の流れをぶった切り180度かえられ、頭の中がついていかない。口を開け唖然とする私に社長は右手を差し出してくる。


「村瀬さんって俺にとって…そうだな…未知の生物かも。なんでそんなに自信がないのか、なんで気持ちを伝えるのが怖いのか、気になる。だから、教えてよ」


「い、いや…だからと言って…なんで…結婚に…」

「研究対象をそばで観察したいから、かな?」


「あの…」

(社長って…ばかなの?お金持ちの感覚が分からない…)


「俺と結婚するの、いやなの?」

「いやとか、そうじゃなくて…私、社長の事好きじゃありません…」

「俺も村瀬さん好きじゃないよ?」

「え?…は、え?」

「でもさ、これからお互いに好きになろうよ。結婚してから好きになるなんて、ドラマや漫画とかでよくある事」


「….……」

なんか、頭が痛くなって来た。争うような言い合いをしたのに、なんで、こんな話になっているんだろう。


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