優しいさよなら
大好きだけど叶わない


大阪に本社を置く大手に名を連ねる「ササクラ酒造」がわたしの働く会社。

マーケティング部にわたしと高山くんは所属している。


「おはようございまーす」


商品企画部とマーケティング部の机が並ぶオフィスの入口に立って大きな声で挨拶する。


「おう、おはようさん。ちょうどええ、高村、話があったんや」


直属の上司の佐伯さんに、まだ人の少ないオフィスで来い来いと手招きされた。

「何ですか?朝から口説かれたりして?」

冗談めかして言うと、手近な書類の束で軽く頭を叩かれる。

「アホ、オレには可愛い嫁さんと娘がおるわ。お前が目の前で裸になっても誘惑されへん」

「えーっ、わたし脱いだら凄いの知らへんくせに」

「そんなもん見たないっちゅーねん、それよりお前本気なのか?」

まだ出勤している人もまばらなのに佐伯さんがワントーン声をおとした。

「は?」

「正式に営業部にお前が欲しいて部長のところに申し入れがあったぞ」

「ああ」

「ああってお前・・・」

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