元社長令嬢は御曹司の家政婦
こんな感じで一週間真面目に会社に来てあげてるにも関わらず、なぜかほとんどの女子社員から避けられている。
私が美人だから、嫉妬されているのかもしれない。

見苦しい嫉妬はやめてほしいけど、自分の容姿を見て生きるのが辛くなる平凡女子もいるみたいだから、いきなりこんな美人が入社してきたら嫉妬されても仕方ないのかもしれないわね。生まれつき美人だったから、そうでないひとの気持ちが全く理解できないのが残念だけど......。


美人も辛いものね、と仕事中にため息をついていると、急にオフィスの雰囲気が変わった。みんな表立っては平静を装っているけど、男性社員は少し緊張しているみたいに見えるし、女子社員たちに至っては急に色めき立っている。

一体何があるっていうの?
興味をひかれ、オフィスを見渡すと、つい一週間前に初対面を果たしたばかりの人物と目が合った。

九条秋人。
御曹司だからだと思うけど、二十七才という若さでこの会社の重役でもあり次期社長と噂されていて、それから私のパパの昔の知り合いの息子でもある。つまり、私を雇ってくれた恩人でもあるんだけど、この男のことは好きになれそうにない。

女子社員たちがかっこいいと騒いでいたけど、どこがいいのか全く分からない。スラッとした高身長に、上品で整った顔、たしかに外見は悪くないかもしれないけど......。

あの何を考えているのか分からない、鉄火面みたいな冷たい表情が全てを台無しにしている。本当はロボットなんじゃないの?

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