元社長令嬢は御曹司の家政婦
「それで、誰が面倒見るのよ?
秋人の家なんだから、ここに置きたいのなら勝手にしたらいいけど、お世話をする時間はあるの?」

「もちろん俺も休日や時間が出来た時は世話をするつもりだが、今は仕事が忙しい時期だから、普段は美妃にお願いしたい」

「な......何言ってるのよ!無責任ね。
何で私が見なきゃいけないのよ。絶対に嫌よ!」

「猫が嫌いなら無理にとは言わないが......」


語気を荒げて完全に拒否すると、秋人は珍しく眉を下げて困ったような顔をする。そんな顔をされたって、私は絶対に嫌よ!


「そうじゃないけど、見る分には可愛いと思うけど、面倒を見るのは嫌。だって、汚いしうるさいし臭いし面倒でしょう」


猫や犬、小動物を飼ったことは何度かあるけど、もちろんお世話は全てお手伝いの人任せ。お世話をしてみようと思ったことなあったけど、三日も続かなかった。

毎日トイレの砂を換えなければいけないのも面倒だし臭いし、決まった時間にごはんをあげなきゃいけないのも面倒。それに、しつけができていない間の犬や猫はあちこち汚すし、それも片付けなきゃいけないなんて、考えただけでうんざりする。

普段の家事でさえ面倒なのに、そこにさらに猫のお世話が加わるなんて絶対に嫌よ。


「トイレ掃除はいいのか?」

「トイレは自分からあちこち汚さないもの。
猫はそうじゃないでしょ。私の意志に反して、面倒ばかりかけるわ。とにかく、私は家政婦であってペットシッターではないの」


家政婦でさえ屈辱なのに、猫のトイレの世話までしなきゃいけないなんて絶対にごめんだわ。
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