元社長令嬢は御曹司の家政婦
「突然きてしまってすみません」

「いいえ～、いつもと同じようなものしか出せませんが」


軽く挨拶をかわして、早速夕食を食べながら、秋人が連れてきた取引先の男性に話をふられて、笑顔で対応する。

さりげなくこれが私の実力よ！ドヤ顔でアピールすると、眉をひそめた秋人からの視線を感じたけど、それには気づかないふり。


「ところで、美妃さんは九条さんの恋人ですか？」

「ああ、彼女は私の、」

「秋人さんとは婚約させて頂いてます！」


答えようとした秋人を遮り、とっさに口からでまかせを言ってしまった。だって、この私が家政婦だなんて言えるわけないでしょう！？

さっきよりもさらに秋人からの視線を感じたけど、もちろん今回も気づかないふりでしのぐ。


「あ、そうなんですか～。知らなかった、それはおめでたいことですね」

「秋人さんもお仕事の関係で多くの方と関係があるので、皆さんに発表するのはまだ時期を見させて頂いてるんですよ。しばらくはご内密にお願いします」


秋人に婚約者がいる、なんて情報はもちろんなかっただろう取引先の人も最初驚いていたけど、すぐに納得したのか祝福してくれて、やがて仕事の話にうつっていた。

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