クールアンドドライ
 早速、乾杯しようと、課長が取り出したのは、シャンパンだった。
やっぱり。
 「課長、もしかして、泊まっていくんですか?」
「ダメ?」

 「イ、イエ、ダメってわけじゃ・・」
そんな、上目使いでダメ?って訊かれたら、ダメとは言えない。
上目使いって、男にされてもキュンとくるものなのね。

 「ダメじゃないんですけど、・・その・・」
彼は、訳が分からないといった顔で、首を傾げている。
「今日は、その女の子の日といいますか・・・その・・」
「ハハッ、そんなすぐに取って食いやしねーよ。」
笑いながらそう言って、なんともむず痒くなる瞳で見てくる。
「でも、良かった。咲希のなかで、ちゃんと彼氏扱いで。」
そう、デレデレな顔で、いわれた。
「え?」
「だって、彼氏じゃなかったらそんなことまで言う必要ないだろ。」

 確かに!

 いや、納得してる場合ではない。
確かに、言う必要はない。
余計な事を言ってしまった。
でも、今、そう言ったのは、心配というより、牽制的な感じ?
そうよ、まだ何も言われて無いじゃない。

「今日は何もしないように、という警告です。」
「はいはい、何もしないから。カンパーイ」
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