クールアンドドライ
無能上司は王子様
 杉本先輩と呑んだ翌週の、真ん中水曜日。

 今月は、怒鳴られるのは嫌なので、何とかノルマを達成するため、頑張って働こう!と気合いを入れ、席についた。
 ノルマさえ達成すれば、何も言われないらしい。まぁ、新人の通過儀式みたいなものだ、とも言われたけど。
 月曜日に、三課にいる同期が、教えてくれた。
先週、課長に私がキレた事を知って、話しかけてくれた。
どうやら、三課では時の人になってしまったらしい。
 まぁ、そうだよねー、上司に楯突いたんだから、目立っちゃうよねー。
ちょっと、場所を変えれば良かったかなぁ?
言ったことは後悔してないけどね。
 そんな事を考えながら、取り敢えず、電話を掛けようと受話器に手を伸ばす。

 うげっ!!
声に出さなかった私を、誰か褒めてほしい。
受話器の上に手が置かれた。
勿論、私のじゃない。
恐る恐るその手から、上へと視線を上げていく。
ひょえー、やっぱりあんたかい!!

 「課長、何ですか?」つい、ぶっきらぼうな言い方になってしまったのは、仕方ないだろう。
 「ちょっとついて来てもらいたいんだが、いいか?」
「どこですか?」
「町田デンキ本社」
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