眠らせ森の恋
 行きたいとこ……行きたいとこ、行きたいとこ……。

「えーと……雑貨屋さん?」
とつい、いつも行っているところを告げると、すぐに、

「却下だ」
と言われる。

 そうですよね。

 社長が女の子ばかりの雑貨屋さんで所在なげにしているところ、想像つきませんもんね、と思っていると、
「他にないのか」
と威圧的に言われる。

 いや、あんた、考えないのか、と思いながら、反射的に、
「じゃ、ゲーセン」
と言ってしまうと、

「却下だ。高校生か」
と言われた。

 だから、お前が考えろ、と内心思いながら、
「じゃあ、本屋さん」
と言うと、今度は返事はなかった。

 そのまま、車は走り出す。
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