(完)最後の君に、輝く色を
全ての授業が終わってから、私は職員室に向かった。



あの人にもお礼を言うべきだと思ったから。



職員室に着いて、ドアを数センチ開けて覗き込んで、平田先生の机を確認する。



いない。



だいたいいつもここにいるのになあ。



部活に行って先生が来るのを待っとこうと思って、ドアを閉めて振り向いた。



「うわっ」



歩き出した瞬間、目の前に男物の体が現れて思わず仰け反る。



視線を上げると、目当ての人だった。



「そんな驚くことないだろ
こっちもびっくりするじゃないか〜」



本当に驚いた様子で胸に手を置いている。



「あ、いや探してたもんだから」



「俺をか?」



「うん」



「さっきはありがとう。すごい助かった」



「気にすんなって。
ってゆーかさ、お前まさか屋上に行ってて遅れたなんてことはねえよな?
そして、鍵がなかったお前は3階から屋上に上がったなんてことはねえよな?
俺の思い過ごしだよな」



完全に目が笑っていないブラックな平田先生は思わず身震いしてしまうほど怖かった。



そんな私の様子で自分の想像が間違っていないことを確信したのか、先生は大きなため息をついた。



そして、私の頭に軽くチョップを加えた。



「危ないだろ。あんま、心配かけんな」



真剣な目は私だけに向けられている。



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