(完)最後の君に、輝く色を
だけど、一向に衝撃を感じず、ゆっくり目を開いた。



「やめてくれ」



目の前に私を叩こうとしていた子の腕を掴む平田先生がいた。



瞬間、3人は部室を出て行った。



まるで漫画や映画のような展開だ。



でもなぜか私が悪者のように思えてしまう。



「大丈夫か」



手を差し出されたが、それに頼らずそのまま座り込んだ状態で先生の目を見た。



「先生、さっきのは嘘じゃないよ。私、いつもそばで笑ってくれる先生が好き」



先生は私の言葉にちゃんと相槌を打ってくれた。



そして、目線を合わせるように座り込んで、またあたしの頭にポンっと手を乗せた。



慰めるように。



「俺も、お前が好きだよ。…でもそれは1人の生徒としてだ。不器用で生きるのが下手なお前を見てると助けてやりたくなった。素直なお前を支えてやりたくなった」



「でもそれは恋じゃない。
ごめんな」



顔を歪めてそう話す、先生はどこか辛そうだった。



不思議だなあ、もっと落ち込むと思っていたのに、あんまり悲しくない。




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