大切なキミの一番になりたかった。

前へ、前へ

朝から太陽の日差しがジリジリと照りつける中、私は途中で買った花を手に病院へと向かっていた。

病院の中に入ると冷房が効いていてひんやり涼しく、ホッとしてしまう。

たくさんの外来患者で溢れているロビーを抜けて、エレベーターでゆうくんが入院している五階へと上がった。

けれどいざ五階に下り立つと、歩くスピードが落ちてしまう。

ユウくんとはずっと会っていない。正直、会うのが怖かったんだと思う。

ユウくんと会ったら、美野里がいなくなってしまった現実を嫌でも受け入れなくちゃいけない気がしたから。


緊張しながらも、お母さんに教えてもらったユウくんの病室へと足を進めていく。


ユウくん……食事もあまり取れていないって言っていた。今のユウくんは、どんな状態なのだろう。

お母さんから怪我の程度は聞いているけれど、もう大丈夫なの?


ユウくんに会うのが怖いと思っていたのに、今のユウくんの状態を考えれば考えるほど、進むスピードは速まっていく。
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