極上求愛~過保護な社長の新妻に指名されました~
私の服はこんなに綺麗にしてくれてるのに、自分の服は脱ぎっぱなしなの?

全てにおいて抜け目のなかった相沢さんの人間らしいところが見えた気がして、なんだか微笑ましいような気持ちになりながらそっとそれを手に取った。

今さら遅いかもしれないけど、まあ一応…

なんとなくそのままにしておけなくて、簡単に整えてからハンガーに掛け、再び自分のワンピースに手を伸ばす。

あ、やば…
けれど止まったホックに巻き込まれたらしい髪が引っ張られる感覚を感じ、外そうとしたところで…背後でドアが開いた。

「ごめん、俺のネクタイ見なかった…って、大丈夫?」
「あ、はい…大丈夫です」
「こーら、引っ張っちゃだめだよ。ちょっと見せて」

自然な所作で伸びてきた相沢さんの手。触れられた首元がかあっと急速に温度を上げていく。

「はい、止まったよ」
「あ、りがとうございます…」

恥ずかしくて俯いたままやっとのことでお礼を伝えると、今度は無言のまま触れた手に優しく振り向かせられて。

「ほら、なんかついてた」
長い指先にそっと髪を梳かれ…ぞくり、と淡い心地よさが肌を駆けおりていく。
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