極上求愛~過保護な社長の新妻に指名されました~
「何作ってるの?」
「秘密です。すぐわかると思いますけど」

あれから相沢さんのお家にお邪魔することになった私は、キッチンを借りて相沢さんの大好きなあるものを作っていた。

「ねぇ、料理もいいけど俺先に茜ちゃんのことー…」
「だめです。できるまで待ってて下さい」

今日はちょっと甘えたな相沢さんだな…

対面キッチンの向かいから注がれる視線を受け流し、目の前の料理に集中する。

「久々に会えたっていうのに、厳しい」

拗ねたように呟く相沢さんが可愛くて、笑いそうになるのを俯いたまま必死にこらえる。

「座ってテレビでも見て休んでてください、すぐにできますから」
「ん、わかった…あ」

何かに気付いたかようにこちらに向かってきたかと思うと、相沢さんは背中を包み込むようにして落ちかけたブラウスの袖をまくってくれた。

「…っ」
「濡れちゃいそうだったから」

そしてそのまま後ろから抱きしめるような態勢で髪にキスを落とすと、相沢さんはリビングの方へと戻っていった。

あれはわざとなのだろうか。

子どもみたいなさっきの雰囲気が消えて、一瞬で私の心拍数をあげた相沢さんはやっぱり私よりも大人なんだと思わされずにはいられなかった。
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