午後4時30分 有馬先輩の秘密の彼女
あの人図書委員だったんだ…

言われてみれば、カウンターの奥の準備室っぽい部屋から出てきたもんなぁ。




「…ねぇ、先生もう行ったけど?」



「え!?あ、本当にありがとうございました!」




私はバッと立ち上がって先輩に頭を下げた。



あぁ、きっと図書室の隅っこにすわったせいでスカートにほこりついちゃっただろうな。


まだ新品なのに…




「…それで?なんで1年がこんな時間にいるわけ?」


……あーあ、忘れてくれたと思ったのに…




ここまでしてやったんだから話せ、とでも言いたそうな顔をする男の人に、私は全部話す決意をした。


まあ、そこまでバレて困るような内容でもないし…




「私、午後はずっとこっそり美術室に行ってたんです。美術室というか…美術部に」




軽く説明すると興味無さそうにふーんと言う男の人。



「美術部ね…でも今日って部活体験ないよね?」




「ちょっといろいろ手続きが必要らしくて…」




「あぁ、もしかして賞とかコンテストとかそういうやつ?」




そういうやつって何…?




「春の美術コンクールに作品を出品するのに、ちょっとした手続きが必要で…

知り合いの美術部の先輩に強制的に残されました」




「へぇ、ってことは中学も美術部だったんだ。

全然そんな感じないけど。」




「う…よく言われます」




美術部どころか不器用そうとか、それはもういつもひどい言われ用だ。




これでも中学の時は、画家とか目指して本気で絵をかいてたんだけどなあ。




「…で、君の用事は何だっけ?」




「あ、そうだった!!忘れてた!!走ってたら下駄箱の場所が分からなくなっちゃって」




「…方向音痴なの?ここは別棟だから下駄箱は真逆の方向だよ。向こうの本校舎。」




「えっ!?うそ!!ありがとうございます!!」




早く帰らなきゃ!と私はUターンしてドアに手をかけた。



…あ!




「あのっ…私、1年E組の新堂茜(しんどうあかね)っていいます!!

…も、もしよかったら先輩の名前、聞いてもいいですか?」




「…2年E組、有馬雄飛(ありまゆうひ)」




「あ、有馬先輩…今日は本当にありがとうございました!!

近々お礼の品を持ってくるので…失礼します!!」



私は今度こそ図書室を出て、先生にバレないように全力で走って帰った。




有馬先輩…か。いい人だったなぁ…




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