ビターチョコは好きじゃない
少し歩いたところで、マネージャーはそっと私の手を握った。

嫌だったら離して。

そう言った。
私は離さなかった。

嫌じゃなかった。
繋いでいたいとさえ思った。

駅までずっと手を繋いでいた。

改札を通る時に一度離したけど、またそっと手を握って

嫌だったら離して

と言った。
私は離さなかった。

私が乗り換えの駅に着くまで、手を繋いでいた。
乗り換えの駅に着いて、降りる時、手を離して、
お疲れ様です
と挨拶をして電車を降りた。

不思議と寂しかった。

初めて寂しさを覚えた。
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