嫌われ者の怪物と空っぽの少女
死んだ?お母さんが?お父さんも?おじいさんも…?
神…に捧げられて……?
神……?
「……かみ…さま…って……あの…?」
「そうだよ。ここに来た時ばったり会っちまっただろう。そいつだ。」
「……神様……捧げる…お父さん……お母さん…おじいさ……ぁ……」
頭が混乱していた。椅子の上でうずくまり、カタカタと震えた。
「あんたのばあさんは、お前を連れて逃げ出したんだ。」
「おばあさ…ぁ……っ」
涙が溢れた。涙は止まらなかった。胸が苦しかった。
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…しばらく経つと、体の震えは収まった。
……ハッと思い、顔を上げる
「なんで、この話を…してくれたの…?」
「……この話をしたこと、死んでも話すんじゃねぇぞ。」
それだけを、ただ言い残し、外へと出ていった。
「……」
なぜ母はこの話をしたのか。
なぜ私の家系は代々生贄に捧げられているのか。
たくさんの真実と感情が一斉に頭に入ってきたせいで、思考が追いつかない。
頭が回る。気持ち悪い。吐き気がする。
マユはそのまま、床に倒れ込んだ。