君を忘れるその日まで。


渡利祐樹(ワタリユウキ)、高校3年生。
このたび、いろいろな理由があって、都心での生活をやめてこの離島で暮らすことになりました。


「今ごろ父さんは頑張って働いてるかな」


仕事の都合で1人残してきた父さんのことを考えながら、味のある新居に足を踏み入れる。


「祐樹!早く荷解きしなさい」


「はーい」


奥から聞こえてきた母さんの言葉に返事をしてから、板張りの廊下を歩いていく。


部屋のふすまを開けると、広いはずの居間がダンボールで詰め尽くされていた。


「……これは早く終わらせて、綺麗な畳を拝まないとだね」


俺は服の袖をまくってから、目先のダンボールに手をつけるのだった。

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