君を忘れるその日まで。
「ところで、俺たち3年なのに修学旅行があるの?」
「…………、」
ふと思っていたことを口に出せば、佐城さんは少し思考停止したあとに短い息をはく。
「祐樹くんて、見た目は真面目そうなのに中身はかなり不真面目だよね。
先週のホームルームで先生が言ってたの、聞いてなかったの?」
「先週のいつ?」
「月曜日」
「あぁ、月曜はいつも午後になると活動限界がくるから、あまり頭が働かせないんだ」
「つまり、眠くなるんだね」
「修学旅行って普通、2年の時に行くものなんじゃないの?3年であるのは日帰りの小旅行だと思ってたよ」
「残念ながら、うちの学校は金銭面に余裕がないの。だから3年の最後にお楽しみイベントが待ってるわけ」
「なるほど。それで、どこに行くの?」
さほど興味もなく片肘をついて聞けば、
彼女は指を立ててニンマリと微笑んで答えた。
「2泊3日、奈良・京都の旅」