溺愛同棲~イケメン社長に一途に愛される毎日です~
 車は首都高をスムーズに走っている。

「まだかかるの?」

「いや、もうすぐだ」

 真壁の言う通りそう待たずして高速を降りた。地道を走って間もなく高級住宅街に入ったのか、壁が連なり木々に覆われて建物が見えないような家々が続く。そしてその一角に車は入っていった。

「もしかして、ここ・・」

「うん、僕の実家だ」

「!」

 であれば〝あしながおばさん〟が住んでいるところということになる。

「大丈夫? イヤとか言わない?」

「言いません! やだ、どうして先に言ってくれないの!?」

「だってさ、椿にとっては未来の姑だから緊張するかなって思って」

「ゆりこおばさんは大切な〝あしながおばさん〟だからいいの!」

 くくっと真壁が喉奥で笑っているのが悔しい。

「どんなに意地悪されてもゆりこおばさんなら平気! っていうか、ゆりこおばさんが意地悪なんかしないから!」

「はいはい」

 真壁がエンジンを切り、シートベルトを外した。それを見て椿も慌てて追随する。玄関をあけて真壁が「ただいま」と声をかけると、奥からパタパタとスリッパの音が響いてきた。

「椿ちゃん!」

「ゆりこおばさん――」

 わかっていてもやはり感慨深く、言葉を失う。年に一回、年明けに会う〝あしながおばさん〟が立っている。優しく温和で、椿を都内でも名の通った名門女子学園に入れ、大学を卒業するまで学費の負担をしてくれた恩人。感謝しても感謝してもしきれない愛しい人。椿の涙腺は刹那に決壊した。

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