溺愛同棲~イケメン社長に一途に愛される毎日です~
 聞いたあと、急いで会社に届け出ている住所を確認した。確かに住所が変わっていて、不覚すぎて吐きそうになった。

 翌日は朝から椿を自宅に呼び寄せるための準備に追われた。引っ越し業者の手配、ベッドの購入。午後は外せない仕事だったので出社したものの、早めに帰宅して空き部屋の掃除に勤しんだ。

 とはいえ慌てた結果がこれだ。大事な椿は今、壁一つ隔てた部屋にいる。そしてここは真壁の自宅だ。自分の手の中に収まったのだから、あとはゆっくり距離を縮め、一つになればいい。

「・・・・・・・・」

 ふと、胸に手をあてた。

 心臓がドクドクと強く打っている。

 自分の中にあった矛盾を今になって痛感し、そして美しく成長した椿を前にして改めて想う。

(どんな女性と会ってもなんの興味も抱かなかった。交際だの結婚だの言われたら必ず椿の顔が浮かんだ。父親の心境なんだとか思ったこともあったけど、彼女のあの笑顔にすっかりイカれていたこと、今ごろ思い知るなんて情けない。でも・・)

 だからこそ、奪われたくない――そう強く思う。

 両腕を後頭部に回してクッションに凭れかかり、天井をぼんやりと眺めた。

(椿、絶対に誰にも渡さない) 


第2章 その出会いは必然 終
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