ウソツキチョコレート
「ネコ?」
「はっ、はい」
「ハハ。アナタ、熱あるんじゃないの?」
 
ウソツキさんが手を伸ばして、おでこに触れてくる。
私はきゅっと狭くなったような胸に片目を閉じ、首をすぼめた。

「ぶ。手袋のままさわっても、熱いかどうかわかんねーし。当たり前だけど」
 
なぜだろうか、その言葉がとても痛く感じた。

風がふわっと私とウソツキさんの髪を撫でて、ウソツキさんがやわらかく笑う。
そして、そのまま手をずらし、わざと私の目の下を伸ばしてアッカンベーの顔を作った。
 
私は「やめてください」と言ってウソツキさんを叩く。
叩きながら、私の顔に触れた手袋の少しチクチクした繊維の感触に、ほんの少しだけ鼻がツンとしたような気がした。






 


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