忘れて、思い出して、知る


遥はしばらく考え込んだのち、宙が持っている手紙を取った。



「ちょっと、まだ読んでる途中なんだけど」


「少し黙れ。なんとなくわかった気がするんだ。これ渡されたとき、寺崎苺についての話はあったか?」



沙也加はうなずき、姫野学園で聞いた苺の話を、若干省略しながら全員に話した。



「寺崎苺は岡本と離れたことを後悔している。そしてこのSDカードを岡本に渡すように書いている。つまり、これは岡本と寺崎苺、共通のなにかがパスワードと考えるのが妥当だろう」



遥は手紙をテーブルの上に置いた。


部屋に沈黙のときが流れる。



「あっ……」



なにか心当たりがあるかのように言った栞の一言は、無音の部屋によく響いた。


栞は姫野学園から借りてきたノートを熱心に見始めた。



「栞ちゃん、なにかわかったの?」


「はい。パスワード、私と姉の共通のなにかじゃないです。それだったらわざわざ手紙を姫野学園には送らないで、警察に届けるはずです。私が刑事かどうか知らなくても、警視長が刑事だってことは知ってるから」



みな納得し、頷く。

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