人面瘡
顔が動きを止めてから、あたしは久しぶりに安心して眠りにつく事ができた。


朝までの時間は短かったけれど、それでもぐっすりと眠る事ができた。


「早く起きなさいよー」


そんな声が聞こえてきてあたしはうっすらと目を開けた。


窓から朝日が差し込んできている。


スマホで時間を確認すると、出かける1時間前だった。


お母さんがこうして起こしてくれるなんて珍しい。


そう思いながらベッドからおりる。


「早く起きなさいよー」


再び聞こえて来たその声に返事をしようとしたとき、違和感があった。


今の声、お母さんの声じゃなかった。


ここは2階で、窓だってちゃんと閉めている。


それなのにやけにハッキリと聞こえて来た。
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