人面瘡
あたしは痛む右膝をかばいながら脱衣所へと向かった。


絆創膏を剥がし、タオルを濡らして傷口に当てる。


ヒヤリとして心地いい。


丁寧に血をぬぐっていくと、ひっかいた傷はそれほど大きくない事がわかった。


ちょっと大げさなくらいに血が出てしまっただけみたいだ。


それを見て安堵のため息を漏らした。


消毒をして、新しい絆創膏をはると「やばい、遅刻!」と呟いて、あたしは大慌てで家を出たのだった。
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