人面瘡
そんな話聞いたことがなかった。


「だから、もしかしたら相手はお前に手を出してくるかもしれない」


「そんな……」


あたしは何と答えればいいかわからなくなってしまった。


「まさか、孝彦が絡まれた原因ってあたし?」


「いや、それは違う。廊下を歩いてて肩がぶつかったっていう程度のものだったみたいだ」


「そっか」


一瞬自分のせいで大変な目にあってしまったのかと思い、焦った。


「なにかあったらすぐに俺に言えよ」


「うん。ありがとう」


あたしはそう言い、雄生の優しさにほほ笑んだのだった。

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