極甘ウエディング~ようこそ俺の花嫁さん~


「……プランニングについて、何も聞かないんですか?」


二人きりの静かな空間で、長谷川さんが不意に声を掛けてきた。

窓の外に向けていた視線を彼女へと向けると、じっと私の顔を凝視している。

その目は、どこか警戒しているような、敵視しているような感じにも見えていた。


「園咲社長にはああ言われたけど……私は、長谷川さんのプランニングに口を出す気はないです」


私が突然現れて、今までやってきたお客様を横取りされてしまうかもしれない。

長谷川さんはそう思っているのかもしれないと思えた。

もしも自分が長谷川さんの立場なら、それは堪らなく辛い。

お客様の話を聞き、二人にはこんなウエディングがいいかもしれない、なんて、プランナーは必死に二人のことを考える。

一組一組、受け持ったカップルの挙式の日を楽しみに、力を尽くすのだ。


「お客様だって、長谷川さんにお願いしたウエディングですもん。最後まで、長谷川さんと作りたいと思います」

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