極甘ウエディング~ようこそ俺の花嫁さん~
「父から社を継承した時、城社長の元へ挨拶に出向いた。その時、立派なプランナーになって現場に立つのどかを再び見かけた……あの時から、俺の気持ちは始まっているんだ」
大事なものに触れるような優しい手つきで、慶太さんは私の頬や髪を撫でてくれる。
そして顔を覗き込むと「やっぱり……信じられない?」と聞いた。
慶太さんの言ってくれたことが信じられないわけじゃない。
ただ、話されたことが、自分の両親が亡くなった事故の相手が、慶太さんのご両親だったという事実は、そう簡単に理解し処理できるものではなかった。
そして、その先に生まれた子ども同士の縁談。
もう今の私の頭では冷静に考えられそうにもなかった。
「信じられないとかでは、ないです……ただちょっと、驚いてしまって……」
「ごめん……もっと、早くに話しておくべきだったね」
手を引かれ、広い腕の中に包まれる。
混乱する私を落ち着かせるように、慶太さんは抱き締める力をぐっと強めた。
「のどかが、少しづつ心を許してくれるのを感じれば感じるほど、どんどん言い出せなくなってた。言ったら、全部壊れそうで……怖かった」
慶太さん自身も、この明かせずにいた関係性に苦しんでいたのだろう。
強まる腕の力がそれを物語っているように感じられていた。