極甘ウエディング~ようこそ俺の花嫁さん~


脱力するお義母様を前に、さっきここまで送ってもらう車の中で悠太さんが言っていた言葉を思い出していた。

あの時はよく意味がわからなかった。

でも、お義母様に逆らうだとか、慶太さんを見習うだとか言っていた。

今の会話の断片から、もしかしたら、実は悠太さんとあのクレア・ルミナスのご令嬢の文香さんは想い合っていて、このお見合いを破談にさせようとしたのかもしれない。


「のどかさん……今まで、ひどいことばかりしてしまったわね」


この間まで、私のことを“柏さん”と呼んでいたお義母様。

下の名前で呼んでもらえたことは、少し心を許してもらえたような気がしていた。


「ごめんなさいね」

「いえ……お義母様のお気持ち、わかりますから。私では、慶太さんと到底釣り合いが取れません。だけど……」


だけど……。


「私も、お義父様を今まで支えてこられたお義母様と同じように、慶太さんを支えていきたいと思っています」

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