私に光を〜あなたを信じるために〜
「夏織、最近お前変だよ」
湊が言う。
「はぁ?私はいつも通りですよー!」
「いやいや、いつもに増して変だって!だよな?小林!」
華奈に問いかけるとかずるっ!
「うん。確かに変。変。変だー!」
「華奈っ!何度も言わなくていいよ!2人して変って!」
華奈まで湊にのっかって変って言うからもうよくわかんなくなってきたよ。
「あ!まさか、好きな人に告りに行くとか」
「え!?」
華奈がそんなこと言うから超驚いたんだけど…でも、それは私だけじゃなくて湊もだった。
「お前、好きな人出来てたのか?」
「いや、えっと、別にー」
湊になんか教えられるか!ずっと一緒に育ってきたからこそ言いにくい。
「何照れてんだよっ」
華奈が言う。
「照れてないし!」
あれ?湊がそっぽ向いてる。なにかしたっけ?
「湊?」
私は知らないうちに呼んでいた。
「あ、え、なに?」
微かだけど湊の声は震えてた気がした。
「なんか考え事かな?してたっぽかったからどうしたんだろうって思って」
「なんでもないよ。最近疲れがたまってるのかも」
違う、湊は嘘ついてる。なんでもなくない。ずっと見てきたんだからちょっとした異変でもわかるよ。そうやって、下を向いて疲れを言い訳にするんだから。
「そうだよねー。あははっ」
華奈が妙な空気を破って言う。
あぁ、華奈もなんか隠してる。
「2人の方が変だよ!」
と言って私は何かを知るのが怖かったのか、妙な空気をぶちっと切らした。
「あ、やば!今日、日直だった。夏織、ごめん、先行くね」
華奈は慌てて学校へ向かっていった。

「あのさ、もし…もし…好きなやつに告白するなら………」
「ん?告白するなら?」
湊が華奈が行ってすぐに話しかけてきた。よくわからない話。
「告白するなら…」
あー焦れったいなぁ。湊がこんなに焦れったいの初めてだよ。
「やっぱりなんでもねぇや」
な、なにそれ!待たせてそれかい!まあ、いいや。深く入り込む必要なんてないんだから。
「そう…」


放課後になり、部活が終わる。
別に告白とかしないけど、昨日の今日できついよ…(笑)


「翔!長谷川と付き合ったの?」
私が華奈を校門で待っているときにそんな話が聞こえてきた。
「うん、そうだよ」
あ、翔君の声…
長谷川って長谷川 七花先輩かな。
七花先輩は、私のバレー部の先輩である。そんなに先輩の恋愛まではよく知らないけど…あぁ、付き合ったんだ。
涙が流れそうになったから私は慌てて目を拭き、唇を噛み締める。

「ごめーん、待った?」
七花先輩の高い声が薄暗いこの空間に響く。
「全然。早く帰ろ」
翔君…もう好きな人できたんだね。
そうだよ!好きな人のことを…翔君のことを応援しなきゃじゃん!私って負けた感じのままってバカみたい。負けたなら負けたなりに応援しなきゃね!

ぎゅっと握りしめ合った手を私は切なく見ていた。




〜帰り道〜
「七花先輩と翔君…付き合ったんだね…」
華奈が呟いた。振られたばかりであんな状況見るの辛いよね。私もさっきから胸がズキズキするよ。痛い痛い痛い。でも、もう無理なんだよ。翔君と仲良くなったり…付き合ったり…そういう夢を見ることすらだめなんだよ。

今日もまた色んなことがあったな。
今日は世界がまた真っ暗になっちゃった気がするよ。
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